ポン菓子
小さい頃、
家の近くにはお菓子を買うようなお店は
酒屋さんか文房具屋さんぐらいしかなくて、
いつしか、そういったお店も店を閉めていった。
たまに、ほんとうに1年に1回くらい
ポン菓子屋さんがクルマでやってきて、
ポン菓子を作っては売っていたのを買っていた。
じいちゃんが買ってくれていた。
今思えば、じいちゃんはポン菓子を食べたかったわけじゃないのかもしれない。
ポン菓子屋さんにも家族があって、
そんなポン菓子を売るおじさんの気持ちがわかるから、
ポン菓子を買ってたのかもしれない。
友だちがあまり居なかった僕は、
となりの家のカベに向かって野球のカベあてをしてた。
3×3のブロックのストライクゾーンめがけて、
軟式の縫い目がなくなるまで投げ続けた。
そんなカベあても、となりの兄さんに謝りたいことのひとつ。
あとふたつは、猫のミーちゃんを助けてあげられなかったこと、
それと、じぃちゃんのことを大切に想ってくれていたこと。
そういえば、友だちがいちど遊びにきたことがあったな。
僕の家にはゲーム機みたいなものがなくて、
もてなしてあげられなくて、映画かドラマのビデオを観てたっけ。